ひじきまめ通信

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2歳で手術の選択【膀胱尿管逆流症治療記②】

2018年11月、娘は膀胱尿管逆流症、グレードⅣ~Ⅴと診断されました。

その経緯については別記事で書いております。

 

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重度の逆流がわかった娘には、治療法として以下の4つが提示されました。

1 毎日抗生物質を飲ませ続けて、自然に治るのを待つ

2 楽ちんな手術を早めにやってしまう

3 お腹を切る手術により完璧に治す

4 3よりはやや負担の軽い手術で完璧に治す

 

私たちは4番を選択しました。

以下に少し詳しく書きます。

 

治療法の詳細

 

1は、抗生物質を予防的に飲ませ続けて様子を見る方法です。

これは、待っていれば治るだろうという見込みがあることが前提です。

0歳で逆流が見つかれば、1歳、2歳までに自然と治ることが多いそうです。なぜなら、まだ膀胱の伸びしろがあって、だんだんと尿管、膀胱も分厚くなってくることで、尿管とのつなぎ目が強くなってくるからだそうです。

うちの娘は、診断がついた時点で2歳3ヵ月になっていました。ここから自然に治るかというと、少なくとも1年や2年では治らないだろうということ。

私たちは、娘にとってこの方法は現実的ではないと解釈しました。

 

2~4は手術による治療法になります。


2は、注入療法といって、あまりキチンと治らないけれど、子どもにとっても楽ちんな手術ということでした。

具体的には、内視鏡尿道に入れて、補強材を尿管に入れる手術だそうです。

手術の次の日に帰れるほど楽な手術であることが最大のメリットですが、デメリットとして、成功率は6割程度だということでした。

もし治癒しなかった場合は、2回目にチャレンジすればいいわけですが、楽な手術とはいえ、2回、3回実施するのも大変かなという話でした。

3は、お腹を開けてふさぎ直す手術で、これがスタンダードな手術です。成功率も高く、95%以上は成功するとのこと。

ただし、入院期間は全部で一週間ぐらいになるそうです(術後4日)。

また膀胱を切るため、しばらくはおしっこをするときにも痛むそうで、傷が治るためにはどうしても長めの期間が必要だそうです。

 

4は、腹腔鏡手術になります。お腹を開けないで治療を行うため、本人への負担は3よりは軽いものになるようです。

ただし、この手術はある程度膀胱が大きくないとできないそうで、目安として条件は、①体重15キロ程度 ②膀胱が大きいこと(具体的な容量も聞きましたが失念)③2歳以上になっていること の3つということでした。

実際は上記全てが満たされなくても大丈夫なようですが、最初の説明ではこう聞きました。

なお4の説明で医師から強調されたのは、「腹腔鏡手術はそれほど良いものではない」という点でした。
膀胱を切らないので傷は小さく済むが、入院期間は3の手術とそう変わらないぐらい(術後3日程度)になるということ。また傷跡も、開腹手術と比較して、下着で隠れない箇所に穴を開けることになり、それが後々消えるかどうかは個人差があるため、人によっては開腹手術よりもずっと目立つこともあるということを強調されていました。

 

一ヶ月の検討期間

 

上記1~4の説明をされ、一ヶ月ゆっくり考えてくださいと言われました。

私たちは一ヶ月間、夫婦で考えをまとめ、「4の腹腔鏡手術をお願いする」という結論に至りました。

1の自然治癒を待つ方法は、すでに書いたように、娘の場合は選択肢になく却下。2は成功率が高くないことから、こちらも却下。

3の開腹手術か4の腹腔鏡手術かは、夫婦間でも微妙に考えの違いがあり、少しの間悩みました。

誰しも、成功率は同じように高く、かつ負担の少ない腹腔鏡手術を選択したいと思うのですが、医師から言われた「15キロ」という体重が気になっていました。

娘は当時12キロ弱で、15キロになるのを待つとすると2年前後かかりそうでした。

2年の間、薬を飲み続けることで成長を待ち、要件を満たした頃に手術をしてもらうか。

最速で治すことを優先して、負担の大きい手術を選択するか。

 

一時は15キロになるまで待つことも考えたのですが、やはり、早くきれいに治してあげて、来年の春夏には、病気を気にせずプールや海も満喫させてあげたい。

最後にはそう思って、「今の体重でも可能な場合は腹腔鏡手術を、しばらく様子をみないと無理であれば、早くできることを優先して開腹手術をしてほしい」という結論に至りました。

 

ちなみですが、検討期間一ヶ月って、長く感じませんか?

 

私は、精密検査の結果が出た時点で、「最速で手術」としか考えていませんでした。

手術する場合、申し込みから3ヵ月程度待ちがあると言われており、であればなるべく早く手術を申し込みたいと思いました。担当医師にもそう伝えたのですが、「今から急いでも急がなくてもそう変わらないので、ゆっくり考えてください」と言われました。

いやいや一ヶ月違うと結構違うだろう…と思いましたが。

医師によれば、すぐに決めない一番の理由は「つい最近尿路感染症で入院しているから」だそうです。

人間、『喉元過ぎれば熱さを忘れる』もので、子どもが高熱でつらい思いをしているときはすぐにでも手術をと言っていた親も、熱が下がって落ち着くと、やっぱり手術辞めますと言うもんなんですと。医師はこのように言っていました。

 

私は、これまで何度も娘の苦しむ様子を見てきて、喉元を過ぎたところで熱さを忘れることはなく、自分の気持ちは変わらないことを確信していましたが、夫のほうは確かに、その場では、治療法を即決できる段階ではなさそうでした。

もちろん早く治してあげたいけれど、娘があまり痛い思いをするのも不憫だという気持ちもあったのだと思います。

結論としては、一ヶ月後も初心通りのものにはなりましたが、一か月間、色々と自分で調査をし、それをもとに夫婦でじっくり考えて結論を出すことは、私たちにとって必要なプロセスだったようにも思います。

 

なお、医師がこのように検討期間に余裕を持たせるのは、この病気が命にかかわえるようなものではないことが大前提です。

手術の説明をするときにも、そのことは強調していました。

ガンのように、早く手術をして、進行を止める必要があるものとは違いますと。手術をしなくても治る可能性もある病気ですと。

腎臓の機能が落ちることの不安はあると思うが、うちの娘の場合は、逆流は片方だけであり、もう片方の腎臓にはおそらく傷は無いはず。

逆流している側の腎臓については、これ以上守っても結果は変わらない(どのみちあまり機能していない)と、ドライに考えることもできると。

こういう要素があるため、手術を急ぐ必要はないということでした

 

医学的には正解だと思いますが、親としてはそこまで割り切れないのですがね。。

 

でも、このように緊急度により手術を切り分けて、プランニングしなければならないほど、世の中には命の危険にさらされ、手術を待っている人たちがたくさんいるということだと思います。

 

腹腔鏡手術に確定

 


話を戻しますが、夫婦の結論は、「今の体重でも可能な場合は腹腔鏡手術を、しばらく様子をみないと無理であれば、早くできることを優先して開腹手術をしてほしい」というものでした。

一か月後に医師に伝えたところ、現時点で腹腔鏡手術が可能という判断がされ、約3か月後に実施が決まりました。

ちなみに腹腔鏡手術をするには、体重要件が足りていないのですが、娘の場合は膀胱がかなり大きく、手術実施には膀胱の大きさがとても重要な要素であるようで、実施可能となりました。良かった…

ただし、手術中に開腹手術へ移行する可能性もあるそうで、そこはあらかじめ了承しておいてくださいということでした。

ちなみに、現時点で腹腔鏡手術が実施可能かどうかについて、一ヶ月前にも聞いているのですが、その際は明確な回答がありませんでした。

想像ですが、最初から可能とわかっていれば、高い確率で腹腔鏡手術を選んでくるため、そうならないようにしていたのかなと感じました。

 

この日も改めて、腹腔鏡手術といってもさほど万能な手術ではないですよ、入院期間もそれなりだし、傷痕も残るときは残りますと、医師に強調されました。想像ですが、腹腔鏡手術はよほど、術後のクレームが多いのかもしれません。

ネット情報等で、腹腔鏡手術は痛みがなく傷もキレイな、夢のような手術!といった印象を持って臨む家族が多いのかもしれません。確かにそういう印象を持ちかねない記述も散見されます。

 

すべては想像でしかないですが、腹腔鏡手術を選ぶ場合も、前提事項に納得し、熟考の上で選んで欲しいという医師の思いを感じました。

 

実際の手術と経過がどうだったかは、またこちらで記事にする予定です。

 

なお、治療法を選択するにあたって、医師からどの方法がいいかなどの意見は一切ありませんでした。(手術をしない選択肢については、消極的な紹介をしていましたが)

必ず、本人と親に自分で決めさせるんだそうです。なぜなら、医師がアドバイスすると、患者と家族はどうしてもそちらに流れてしまい、もし何かあったとき、あるいは仮に何もなくても、自分で決めていないと何かしら後悔が残ることが多いのだとか。

 

これも、後から文句を言われないための予防線のようにも思いますが、だとしても、医師の見解を聞かないで判断したのは良かったように思います。

先に医師の見解を聞いていると、先入観から抜けられないでしょうし、自分たちでさんざん考えて決めた後に医師の見解を聞いて、それが違うものであった場合、初志貫徹してもしなくても、どこかモヤモヤが残りそうです。

医師からは正確な情報をもらうにとどめ、最後は自分たちで決めるということは、大切なことなんだなと思いました。

 

今後ですが、手術日の確定(申し込みから日程の確定までさらに1.5ヵ月かかります)、手術前検査(麻酔等の検査)を経て手術を迎えます。

またご報告できるタイミングになれば、記事にさせてもらいます。