ひじきまめ通信

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幼児は何歳で手術を受けるのがベストか【膀胱尿管逆流症治療記⑤ 】

うちの娘は、2歳7か月で、膀胱尿管逆流症を治すための手術を受けました。
これから、お子様が手術を控えておられる親御さんに、何かの参考になるかもしれませんので、経験談を交えて書きたいと思います。

 

もし、あなたのお子さんが幼児であり、手術を受けるタイミングを選択できる場合。
何歳頃で手術を受けるのがいいのでしょうか。
私としては、4歳以降が良いと考えます。
その理由を含め、手術の体験談を書きます。

 

トントン拍子でした、手術を受けるまでは。

 

11月頃に、腹腔鏡手術を受けることを医師と正式に決め、年明け1月後半頃に入院日が決まりました。

過去数回入院経験がありましたが、すべて緊急入院だったため、比較すると、入院予定が決まっている状態というのは本当に楽でした。

事前に仕事の調整もできますし、入院期間もある程度読めますし( 結果としては期間は大幅に延びましたが)、必要なものの準備もゆ っくりできる。

 

スーツケースに必要なものを詰めていると、なんだか旅行に行くよ うな錯覚も覚えるぐらいでした(笑)

 

そして入院当日。

 

緊急入院の場合と違い、入院日(手術前日)でも元気なので、個室で跳ねまわって遊び、プレイルームで遊び、みんなでベッドサイドで晩御飯を食べて、部屋備え付けのシャワーではしゃぎ、翌日の手術に備えてゆっくり眠りました。

 

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リラックスモード

 

ちなみに、手術するには、発熱していないことが条件になります( 発熱が無くとも、普段と体調が違うようなら見送られることも)。

うちの子の手術日は2月後半。風邪どころか、インフルエンザが猛威を振るう時期でした。

しかし、娘は全く体調を崩すことはなく。なんの憂いもなく手術に 臨めました。

 

明日はいよいよ手術日。少し痛い思いをするけれど、回復に必要な体力は蓄えているはず。2日程度辛抱して、3日目には早ければ尿管カテーテルが外れ、4、5日目には帰れる。

提示されていた予定に、何の疑いもありませんでした。

 

目覚めたのは8時間後

 

手術当日、午前10時の開始に合わせて、家族3人で手術室までい き、手術用ベッドに寝かせて、麻酔が効くまで見届けました。

それから終了まで病院内で待ち、だいたい予定通り、午後2時半頃に個室に帰ってきました。

 

帰ってきたときの様子は、想像していたものとは違いました。

 

同じ病気で手術を受けられたお子さんの様子を事前にブログで拝見しており、そのお子さんは術後すぐ、元気にしゃべっていた様子だったので、娘も起きているかなと思っていました。

ですが予想に反し、寝ているというか、目は閉じ切らない状態でうっすら開いていますが意識が無く、呼び掛けには反応せず。手術着のところどころに血の跡も少しあり、痛々しい印象でした。

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カテーテルから延びる管は血で真っ赤

 

そのまま寝かせていましたが、通常起きると言われる2時間程度経った後もぴくりとも動かず、結局起きたのは、8時間程度経った、午後10時頃でした。

 

こういう状態は特殊なことではないようです。私たちが参考にした例が、極端に元気な?例だったのかもしれません。

しかし正確な情報源を持たない私たちは、何が正しいのかわからず、また身近に全身麻酔から覚めることなく亡くなった方が居たこともあり、本当に心配しました。

不安で仕方なく、何度か看護師さんにそれを訴えましたが、「大丈夫ですよ~」とだけ言われます。

実際大丈夫だったのですが、何をもって大丈夫なのか、簡潔に論理的に説明してもらいたかったなと思いました。

 

看護師さんのなかで、とても頼りになる男性の方がいて、その方だけ、過去の経験や他の例などを引き合いに出し、今がどういう状態 なのか説明してくれて、やっと安心できた1時間後ぐらいに目覚め、ほっと一息つきました。


術後に本格的に目覚めた後、大暴れするケースもあるようですが、 娘の場合は手術後最初に麻酔から覚醒した時にその大暴れを済ませ たようで、個室では静かに目覚めました。

 

山場の24Hを過ぎても苦しみが続く

 

目覚めてからは、事前情報通り、痛みや手術への恐怖の名残りなど で、眠れずずっと泣いている状態が続きました。

看護師さんも、24Hは痛みが強いので、痛み止めを使ってなんとかやり過ごしましょうとのこと。

私たちも覚悟の上でしたので、手術翌日までは寝ずに24時間ずっと娘を抱いていました。

 

しかし、手術から2日経っても3日経っても、痛みはおさまるどころか、どんどんひどくなるようにも見えました。

周期的に襲う痛みに泣き叫んでいる、つらそうな顔の娘を見ていて、こっちも泣きそうになるぐらい。


膀胱に穴が開いていた

 

何が起こっていたかと言うと、このとき、膀胱が破裂したのと同じ状態になり、尿が体内に漏れ出していたのでした。

 

遡りますが、手術2日目の朝、こちらの希望により、予定よりも早く尿道カテーテルを抜いていました。

術後からずっと、あまりに娘が痛い嫌だと訴えたので、原因はわかりませんでしたが 、カテーテルが無ければ少しマシになるかと思ったからです。

医師の承諾のもと、予定より少し早く抜いたのですが、結果としてはそれが間違いでした。
抜いてから3時間経っても5時間経っても自力でおしっこをしない 。(娘はまだオムツでした)
1時間に40mlの水分を点滴で入れているのに、絶対におかしいと、 私は繰り返し看護師さんに訴えました。

しかし、看護師さんたちはさほど重大なことと思ってはいない様子 。
そうこうするうち、6時間を過ぎた頃に初めて、オムツが少し濡れました 。
それで解決とばかり、おしっこの量を図ることも、こまめに頻度を 見ることもされなかったのですが、体内に入れている水分量に対し て、やはり尿量が少なすぎる。
結局、私の嫌な予感は的中し、術後4日目でやっとエコー検査をし てもらった結果、尿が体内に漏れ出して、 腹膜炎を起こしていたのでした。


なぜ娘がおしっこをしなかったかというと、膀胱が痛むからです。 術後数日は誰でもそうなのですが、とはいえ大抵の子どもは我慢できずにおしっこをするようです。

しかし稀に 、どうしてもおしっこが出さない子がいると。
そうなった場合は、入院が長引きますと、確かに術前の説明で聞いていました。
限界まで我慢し、どうしても我慢できない分だけを、漏らすような形で少しだけ出していた状態が続き、膀胱が破裂したのでした。

さらに悪いことに、手術の際に腹膜を傷つけられていたため、そこから炎症が起こったというような説明だったかと思います。
腹膜炎の痛みは未経験ですが、大人でも我慢できないほどの痛みだと聞いたことがあります。

そんなつらい思いを何日もさせてしまって、本当に娘に申し訳なくてたまりませんでした。
担当医師は、こうなってしまったことを申し訳なかったと謝罪してくれましたが、私は医師だけでなく看護師も含め、本当に病院というものに不信感しか抱けませんでした。

防げた事態だったのにと。

 

術後から、尿の状態を見るための紙を渡されていました。頻度と量を測るものです。
しかし、尿が出ていないのではないか、または量が少ないのではないかという再三の私の訴えののちも、尿量を測ってみてという指示は出ず、また尿の頻度を書いた紙も、看護士、医師の誰も見ていませんでした。
親の話と紙に書いたデータを合わせ見れば、こうなる恐れがあることはもっと早く知ることができたはずなのに。

どうして誰も深刻に受け止めてくれなかったのか。


今までの経験から(当blogにも書いています)、病院や医師・看護師を過信してはいけないと肝に銘じていたはずなのに、また同じ過ちを犯してしまったことが悔しくて、娘に
申し訳なくて。
腹膜炎の処置をしてもらった夜、娘が落ち着いてきてからも、私は一睡もできませんでした。

 

カテーテルを入れたまま帰宅

 

腹膜炎を起こした娘は、再度カテーテルを入れて膀胱から尿を外に出す処置をし、そこから7日間はカテーテルを抜けなくなりました 。カテーテルを入れ続け、その間に膀胱が自然に治癒するのを待つためです。

つまり10日以上退院が延びたわけですが、仕事の都合もあり、また差額室料など諸経費の問題もあります。

医師からの提案として、尿道カテーテルを入れたまま自宅で数日安静にし、十分な療養期間を置いて、再度入院することになりました。
カテーテルを入れた状態で日常生活を送るというのが想像できなか ったのですが、割とあることのようですね。


2重にオムツを履き、1枚目のオムツにはこういう風に穴を開けま す。

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ハサミで穴を開けます

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穴の周囲をテープで養生します

開けた穴からカテーテルの管を出して、 2枚目のオムツで、カテーテルから出る尿を受けると。(1枚目はウンチを受ける)


娘は、パンパンだった尿が抜けた後は、とても元気になっていましたが、やはりいつも通りとはいかず、カテーテルが気持ち悪いのか痛いのか、つい走ったり跳ねたりしては、痛いと騒いで病院へ逆戻り。

帰宅したとはいえ、なかなか大変な数日を過ごしました。


手術は4歳以降をおすすめする理由

 

冒頭に、手術時期が決められるなら、4歳頃以降が良いのではと書きました。
これは、上記のような出来事を経験し、手術を受ける本人との正確なコミュニケーションの重要性を痛感したからです。


・術前の心構え

→ここを治すために、こういう手術を受けるよ。何日でこうなって、いつ頃完治するよ。などの説明ができ、ある程度理解できる。

・術後のお願い

→痛くても頑張っておしっこを出さないと、退院できないんだよ。などのお願いが通じる。
・不測の事態への対応

→急変時などに、どれくらい痛い、どこが痛いなど、状態をある程度正確に言葉にできる。

 

こういったシーン別のコミュニケーションは、最低でも4歳にはなっていないと難しいのではと思います。(4歳でも早いですが)

 

特に3点目の、今の状態を言葉にできるかどうかは重要です。

 

娘は今回、術後の膀胱の痛みも「痛い」。カテーテルを抜いた際に、おしっこを出す痛みも「痛い」。腹膜炎になった後の激痛も「痛い」。

さらに痛み以外の、カテーテルの違和感や肌 荒れによるかゆみもすべて「いたい」としか言えませんでした。

これだと、オオカミ少年ではないですが、なんでも痛いとなるため、本当にまずい状況でも半分疑われることに。

「痛みの記憶が呼びさまされて泣いているのでは?」「かゆ みが不快で泣いているのでは?」など、親でもその状態を正確に知ることは難しいのです。

 

うちは、投薬を続けさえすれば、手術を先延ばしにすることもでき ました。


あえて急いでやったのは理由があり、ひとつは「抗生剤を毎日飲ませることのリスクを考えた結果」。(与薬忘れ、災害時など与薬困 難な状況への対応、抗生剤自体のネガティブな影響への不安)

もうひとつは、「2歳頃なら幼いため、あまり嫌な記憶を後々に残 さずに済むのでは」と思ったことでした。

 

これも、間違いではないと思います。

 

ある看護師さんは、5歳以降、腹筋ができてきたころに手術を受けると、切った部分の回復まで少し時間がかかり、痛みも強い傾向にあるので、2歳ぐらいまでのほうが本人にとって良かったと思います、とも言っていました。

 

そもそもですが、手術をいつ受けるか、タイミングを選択できること自体、そうそう無いものかと思います。

 

ですが、もし選べるなら。

 

やはり意思疎通がある程度ちゃんとできる頃まで、待つのがいいです。

 

逆に言うと、選択の余地なく、2、3歳以下で手術を受けるならば。

 

何かあっても言葉で訴えられないリスクを意識し、対応が後手に回らないよう、念には念を入れて慎重に観察してあげる必要があると思います。

 

病院を、医師を盲信してはいけません。