ひじきまめ通信

出産、育児、その他もろもろ

里帰りしません

2年前に娘を出産したとき、私は産前・産後とも実家に帰りませんでした。
実家から母に来てもらったのも、産後に自宅に戻った日から3日だけです。

うちの実家は、車で数時間のところにあり、近くはないが特別遠くもなく、父母ともに健在です。
このパターンですと、里帰りか、母親に一定期間手伝いに来てもらうことも多いかと思います。
ですが私の場合、妊娠したときから漠然と、産前・産後は夫婦だけで乗り切ろうと思っていました。
実際にそうしてみて、特に問題なかったなと思います。

友人からは、


 ・夫婦だけで乗り切るのは大変だよ
 ・実家のご両親も、戻ってきてほしいと思ってるんじゃない?

f:id:hijikimamek:20180703213425p:plain


などの意見をもらっていました。
妊娠したばかりのときは、産後の大変さを全然知らなかったのもあり、サポートが必要なものだと思っていなかったため、どちらかというとこういう、里帰りを前提とした周りの空気に驚いたものでした。

友人の言うことは正しい。

ですが、妊婦さんの数だけ、置かれた環境の違いがあります。

帰りたくても頼れる実家がないとか。母親や姉妹など頼れる人が居ないとか。
私の場合は実家もあるし母も居ましたが、実家で長期滞在して身の回りのことをお願いするということが現実的に思えませんでした。

実家に住んでいた期間と、実家を出てからの期間が同じぐらいになり、もう自分の家というより、たまにお邪魔する親しい親戚の家のように感じていました。
レジャーで数日滞在するのはいいけれど、生活するところとなると、違う。。
三食昼寝付きで、心健やかにその日を迎えられるほど、リラックスできる気がしなかったのです。 
こう書くと、実家との折り合いが悪いようですが、そうでもないと思います。昔から両親にはかわいがってもらい、妊娠したときも手放しで喜んでくれました。

でも、里帰り出産は嫌だ(笑)

あまり詳しくは書きませんが、いろいろ考えるところがあったのです。

この感覚は、親しい友人たちでも、あまり同意を得られるものではありませんでした。
夫婦で過ごしたいというのはワガママなのかなと悩み、一度は友人の言葉(「ご両親も、帰ってきてほしいと思ってるのでは?」)を受け止めて、里帰りする方向に舵を切りかけていました。

しかし最終的にはやめました。

 

生まれてくる子供のことを第一に考えるなら、自分がリラックスできる環境で産むことが大事。
そのためには両親がどう思うかより、自分がどうしたいかを優先する。
物理的には手伝いがなくとも大丈夫なはずなので、そのためにちゃんと備えた上で、後は思うように過ごす。人手が足りない分はお金で解決する。
最後はそう思って決めました。
(ちなみに、義実家も遠方にあり、また義父母とも体調が良くないため、お世話をお願いできる状況にありませんでした)

今振り返っても、この判断は正解でした。


夫が私の意志を尊重してくれて、最大限の協力をしてくれたことで、産前最後の夫婦だけの時間をゆっくり過ごせました。
また産後も、夫が育休を取ってくれたため、夫婦で育休中の2週間は、夜の授乳を交代で行いました。夜に眠れたことで、思いのほか負担なく過ごせました。
このときに一緒に乗り切ったことは、大変だったけどいい思い出として、お互いの心に残っています。

世の中に、里帰り「できない」ならまだしも、できるけどどうするか迷っている妊婦さんは居ないかもしれませんが…もしおられるなら。

場合によっては、選択的に里帰りしないやり方も、アリではないでしょうか。

 

実家には実家の生活がありますし、頼って当たり前というのもどうなのかなと私は思っています。

パパに子供のことをやってもらういい機会かもしれません。


このとき、どんな準備をして、どう過ごしたかは、「里帰りしない人の産後準備」として、何度かに分けて書きたいと思います。

 

 

www.hijikimame.com

 

 

帝王切開への備え

娘を出産した際、元々は経膣分娩を予定していましたが、お産がなかなか進まず、最後は緊急帝王切開になりました。
出産準備段階で、こういうパターンも想定しており、多少ですが準備もしていたため、必要以上に混乱することなく手術に臨めました。
ご参考までに、私がやったこと(それをやって良かったかどうか)をいくつか書きます。

 

保険の検討(やって良かったが、結果としてはやらなくとも同じだった)

 

妊娠を機に、自分が加入する保険を見直す方も多いかと思います。もし妊娠中に新たに医療保険に加入し、出産本番で予期せず緊急帝王切開になったときには、いくらか支払われることがあります(保険内容による)。
帝王切開未経験の妊娠中に加入していることがポイントで、一度でも経験したことのある方が入る場合は、加入時点から、帝王切開手術のケースを保険金の支払い対象から外されるようです。 (基本的には、一度帝王切開で産むと、以後の出産はすべて帝王切開となるため)

よって、「近いうちに医療保険への新規加入を検討しており、どうせ加入するなら、帝王切開もカバーしたい」というような場合は、出産前に加入するほうが得という考えもあります。 
ただし、「帝王切開になったときに儲かる」というわけではなく、「それ以外の目的で加入したが、たまたま帝王切開も保障された」というケースもあり得るというだけです。

出産費用自体は、出産方法に関わらず、一定額(私のときは42万円)が、加入している健康保険組合から支給されます。帝王切開であっても、費用はその範囲におさまるはずですので、健康保険に加入していれば、必要な費用は賄えます。

 

私の場合は結局、検討の末、加入を見送りました。医療保険の必要性をそこまで感じませんでしたし、出産については、帝王切開にならない可能性のほうが高いので、急いで入ることもないと思って。

 

まぁ、帝王切開だったんですけど。

 

別に損はしません。保険金がもらえるのも、保険料を払い込んでいるからこそ。

たまたま起こった事象でいくらか保険金がもらえたかどうかよりも、払い込み保険料が実態に見合ったものか、数年単位で考えることが必要だと私は思います。

 

円座クッションを買わない(やってよかった)

 

産後ママの必須アイテムとして円座クッションがあげられると思います。私も産前準備品のリストに載せていました。
ただ、帝王切開になった場合は全く必要ありません。その後もずっと。
その場合を考えて、購入せずにいました。(産後必要になったらすぐ買えるように、Amazonのサイトでめぼしいものをブックマークだけしていました)
これは正解でした。

 

退院日を最大一週間で考えておく(やらなくとも大差ない)

 

私が出産した病院では、経膣分娩の場合で5日後、帝王切開だと7日後が退院日でした。 
私は病院を出たら、助産院へ産後入院を予定しており、助産院退院後は、母親に数日サポートをお願いしていました。

助産院の予約や母親への調整の際、万一帝王切開になった場合を考えた調整をしていました。

まぁしていなくても、数日の違いなので何とでもなりますが、先に説明していた分、気持ち的には楽でした。

 

帝王切開のシミュレーション(やって良かった)

 

帝王切開への備えなどと大げさなタイトルにしましたが、実は特別な備えなどなく、本当に必要なのは実はこれだけと言ってもいいです。

帝王切開手術とはどういうものなのか、手術のメリット・デメリットは、心構えは。このあたりを、実体験を聞いたり読んだりしておくことは、とても大事だと思います。

私の場合、帝王切開手術を受けるまで、手術自体未経験だったこともあり、漠然とですが、とても恐ろしい印象を持っていました。

ですが、麻酔により手術中の痛みはまず無いこと。術後は動けないが、2~3日のうちにある程度動けるようになり、退院時には入院前と大差ないほど回復すること(個人差あり)。

そういう経験談を読ませていただき、事前にシミュレーションできていたため、手術本番は比較的落ち着いて臨むことができたと思っています。

経験談は、私もすでにいくつかの記事で書きましたので、ここでは、経膣分娩と比較した場合のメリット・デメリットを私なりに書きます。

(出産形態はほかにも、無痛分娩等色々あります。ここでは2者の比較のみ行います)

 

メリット

 

・予定帝王切開の場合、陣痛を経験することなく出産でき、産後に体力を温存できる(という説あり)

・次回以降も帝王切開となるため、2回目以降に出産する場合に、スケジュールを立てやすい。

 →私はこれをメリットだと思いますが、次回以降も帝王切開になること自体をデメリットと考える方もいらっしゃるとは思います。でも、上の子のお世話を誰かにお願いしたりと、2回目以降は調整ごとも増えるため、予定が決まるのはありがたいと思うのです。

デメリット

 

・産後の回復に時間がかかることが多い。

  →緊急帝王切開の場合、手術前に陣痛等でかなり消耗し、手術後には傷の回復で消耗することになり、産後早々からハード。
 →産後すぐの授乳に障壁があるケースもある。(術後は私の場合、3日後にならないとまともに授乳できませんでした(動けないため)。ですが、同室の術後ママは、その日から歩いて授乳に行っていましたので、これは個人差があると思います。
 
上記を見ていただければわかりますが、「子供の健康・安全」の観点では、どちらが良くてどちらが悪いということはないと思います。ママが比較的楽だとか、逆に大変なこと・つらい部分もあると。いうなればそれだけです。 


よって、両者の差はさほどないというのが結論です。

f:id:hijikimamek:20180702212941p:plain

帝王切開ってあかんの?

私は、緊急帝王切開で娘を出産しました。
以前、その経験を書いた記事の中で、「帝王切開というのは身体的だけでなく精神的に、色々とありました」と書きました。
それについて少し詳しく書きます。

帝王切開手術の件数は、ここ30年で増えてきているそうです。
厚生労働省の資料では、現在、妊婦さんの4~5人に1人は帝王切開により出産している計算になるそうです。
私は妊娠中、子供が逆子になることも一度もなく、順調に経過したため、普通分娩(経膣分娩)となる前提で準備していました。
ただし、上記の数値も意識していましたので、仮に緊急帝王切開となった場合にも備えていました。
備えるといっても特別なことはなく、心構えといいますか、経験談をネットで見て、シミュレーションしていました。
結果、備えあれば憂いなし、あまり動揺することなく、緊急手術に臨みました。

そこまでは問題なかった。

が、その後、諸先輩方に実際にかけられた言葉をいくつか書きます。

帝王切開で、楽して産んだんだろうけど」
「24時間の陣痛で?今の病院はすぐ切るなぁ」
「赤ちゃんも、産道を苦しんで通るときに免疫がつくのに、帝王切開なんかになって・・」

産後で、メンタルが急上昇急降下する状態だった私には、一言一言が深く刺さりました。

個人の感想ですが、私も大変でしたよ。延々続く陣痛に耐えるも子宮が開かず、微弱陣痛になったことで、医師の判断が下ったのですが、よく頑張ったと、夫も褒めてくれました。
同様に、娘も頑張りました。数分に一度、グイグイ締め付けられて、なのに出るに出られず。狭い子宮の中で長時間戦いました。

では予定帝王切開(あらかじめ帝王切開手術をすることが決まっている場合)では、楽に産めるのでしょうか?
私はそんなことはないと思います。
なまじ準備期間があり、通常の状態から手術へ移行するため(出産時のバッタバタ中に、その流れで臨むのと違い)、手術台に寝かされて、痛い麻酔を入れられているあたりから、急に手術への不安や恐怖が襲ってくることも多いようです。
ママ友ちゃんは、実際にそうなり、過呼吸になってしまって、いったん手術を中断したそうです。

そして、術後は大抵の人に、キツイ後陣痛があります。後陣痛には手術用の麻酔は効かないそうです。私の場合も、手術室から戻る最中から、陣痛がぶり返したかのような痛みが出てきました。

さらに手術当日は、歩けないどころか寝たきりで、寝返りさえ打てません。麻酔が切れれば、傷口の痛みもあります。
経膣分娩の入院期間がたいてい5日間程度なのに比べ、帝王切開だと7日以上の入院になります。
それだけ回復に時間がかかるということです。出産によるダメージは、経膣分娩の比ではありません。

ですが、私の親世代にとっては、逆子だろうが、お産に何十時間かかろうが、最後に助産師がお腹の上に乗っかって、押し出してでも、子供は自分の力で産むもんだと(これも本当に言われました)。それでこそ母であると。
どうも、大先輩たちにとって、帝王切開とは、楽するためにする手術であり、母なら誰でも乗り越えられる痛みを我慢できないヘタレの逃げ道であるようです。

かわいそうに。f:id:hijikimamek:20180702213429p:plain

 

昔は、設備や技術が整っておらず、帝王切開手術がなかなかできなかったのでしょう。苦しんだ末に、母子ともに健康で安全なお産とはならなかったケースが、たくさんあったことでしょう。
そんななか、たまたま無事な出産を果たした方たちが、それを武勇伝のように思うのも仕方ないと思いましょう。(ほんとは許せんが)

ですが、これからママになる方たちは、そんな武運に恵まれた先輩方の偏見にさらされても、気にすることはないですよ。
私が医師から言われたことです。「私たちは、お母さんと子どもが安全に出産を終えられるよう、常に最善の方法を提案します。」
最新の医療現場に、つまらない偏見は存在しません。先生たちを信じましょう。
今は技術が進歩し、出産の形は様々です。無痛分娩の選択もあります。私が出産に選んだ病院では、無痛分娩には対応していなかったため、選択できませんでしたが、産後に24時間闘い続けるためにも、体力を少しでも温存する方法を取ることも、大変クレバーな選択だと思います。

タイトルの答えです。

外野は黙っとけ。あかんことあるか!

子供が嫌いだった

産声が聞こえてから、「元気ですよ~^^」と顔のそばまで赤ちゃんを連れてきてくれるまで、主観では結構長い時間がかかった印象でした。
綺麗に洗って、その他必要な処置をしてくれたんだと思います。
顔のそばに来た娘は、ゆっくりうねうねと手足を動かしながら、元気に泣いていました。
おめめが片方だけ、パッチリと開いていて、それが本当にかわいいと思いました。
助産師さんが、娘のほっぺを私のほっぺにひっつけてくれたのですが、少し産毛を感じる、モモみたいな、やわらかなスベスベ触感でした。
思わず「かわいい~!」と口に出していました。
このファースト「かわいい」を皮切りに、1日に50回ぐらいかわいいを連呼する日々が始まりました。

f:id:hijikimamek:20180702213914p:plain
私、出産するその時まで、子供が嫌いだったんです。
嫌いというか苦手というか、相対しても、どうしたらいいかわからないというか。
子供はかわいいとはよく聞くが、犬のほうがずっとかわいいじゃないと、本当にそう思っていました。

そんな私の、妊娠中の一番の悩みは、「子供を愛せなかったらどうしよう」でした。
「自分の子供は特別だと思うよ。かわいいよ絶対」とか、周りは言うけれど、信じていませんでした。
いままで何十年も、子供を愛でたことがない自分が、我が子だからといって、かわいいと思えるわけないじゃないかと・・・
子育ての大変さを聞けば聞くほど、愛情が持てなければ、その大変さを乗り切れないんじゃないかと。
「産後鬱」「虐待」といったワードが頭に浮かび、不安でたまりませんでした。

でも。

生まれてきた子供をみた瞬間、私の母性は、壊れた水道管のように、唐突に噴き出しました。
その後も枯渇することなく、ジャンジャン噴出しています。
我が子がかわいいどころか、世の中の、世界中の子供のことが、今は大好きです(笑)
私の母性は無かったのではなく、心の奥で長く眠っていただけでした。
そんな自分に、私自身も夫も、驚くとともに安堵しています。

もし、私と同じような悩みをかかえた妊婦さんが居らっしゃれば、たぶん心配しなくていいと思います。
もちろん個人差はありますが、私のように、極端に変化する人間も確実に居ます。
妊娠中は、ただでさえ神経過敏になりますし、すべてが初めてのときは、得体のしれない不安に襲われて当たり前です。
そんなときは悩んでも無駄です。なるようになるさと、スマホから目を離して、好きなDVDでも観て寝ましょう。


以上が私の出産(帝王切開手術)経験談です。

手術ってこんなんでした

怒涛の展開


手術を決めた瞬間から、怒涛の展開でことが進んでいきました。
担当のお医者さん、助産師さんに加えて、手術チームとでもいうのでしょうか。手術のアシスタントさん数人が、入れ代わり立ち代わりベッドに登場します。

細かい順序は忘れましたが、

アシスタントAさん登場 
「これから手術まで、手続きの一切を私のほうでさせていただきます!それでは早速、こちらが手術の同意書になります、お母さんご本人と、付添いの方の署名を(うんぬんかんぬん)」

アシスタントBさん登場
「それでは尿道カテーテルを入れさせていただきます!ではすみません早速!(ガバっとめくられ、おしっこの管を入れる)」

アシスタントCさん登場
「剃毛させていただきます!それでは早速(ジョリジョリジョリ」

助産師Aさん登場
「手術の流れと、注意事項を説明します(うんぬんかんぬん)」

助産師Bさん登場
「すみません、書類不備がありましたので、再度こちらに署名を(うんぬんかんぬん)」

などなどなど

私の場合、緊急帝王切開手術ですので、まだまだ準備中も「陣痛なう」です。上記の間中、8分~10分弱の間隔で陣痛がくるわけです。陣痛の波が来ると、すべて中断して一通り苦しんで、また準備再開です。

当時の私の思いは1点のみ

f:id:hijikimamek:20180702214644p:plain

病院側の皆さんはそれを百も承知で、ガンガン進めてくださいました。
私は雑に書いていますが、実際はもっと細かい準備を、実に丁寧に迅速に進めていただきました。まさにプロ集団です。
このときは、大きめの総合病院を選んで良かったと心から思いました。設備や人員状況によっては、かなり時間がかかるでしょうから。

手術本番


プロたちの総力をあげた準備が整い、やっと手術室へ。帝王切開へ切り替えてからここまでの所要時間は30分以内だったと思います。
私のように、比較的すぐに手術に移れるケースばかりではありません。
先生が空いていなければ当然無理ですし、予定帝王切開の方や、他の緊急手術と重なる場合もあります。
私は運がよかったほうだと思います。

ストレッチャーで陣痛室から手術室へ運ばれている間にも、陣痛が襲いまして、たびたび作業が中断します。
長い長い陣痛からようやく解放されたのは、腰に麻酔を打たれたあとからでした。
その後はウソのように痛みが消えました。

痛みが消えて少し落ち着いてきたときに、好きな音楽はないですか?と聞かれました。選曲をお任せしたら、ドリカムをかけてくださいました。
痛みが消えた分、冷静になり、急に手術への恐怖がこみあげてきました。自分でも無意識のうちに、近くで見守ってくださっているアシスタントさんをすがるように見上げていました。
その視線をすぐに察してくださり、「どうされましたか?大丈夫ですよ、すぐに終わります(満面の笑み)」と、手を握ってくださいました。
なんだか、子供の頃に戻ったように、優しいお姉さん(私よりあきらかに年下の方でしたが)にすがって、安心できました。
この方ですが、後から思えば、手術室へ移動する前から、そばに居てたくさん声をかけていただいていました。手術にあたり、お母さんの精神的ケアをする専属の方らしく、手術が終わるまでずっとそばで見守ってくださいました。

開腹開始


メスらしきもので、お腹あたりをツンツン(もしくはもっと激しくブスブス?)され、麻酔の効きを確認されました。何も感じないことを伝えると、開腹が始まります。
痛みもかゆみも感じませんが、何かコゲくさい匂いがしてきます。電気メスというのでしょうか?
今迄手術を経験せずに生きてきましたので、電気メスの存在を知りませんでした。ブラックジャックがやっているように、切れ味の良いメスでスパッと切るのかと・・

時代は変わっているのですね。
コゲくさい匂いは数分で終わり、その後、ぐいぐいと、お腹のあたりを押すような感覚が少しします。
このぐいぐいは、1・2分だったでしょうか・・数秒だったのかも。急にフッと、お腹が軽くなったような感覚がしました。
そこから数秒で、元気な産声が聞こえてきました。

テレビや漫画の出産シーンでは、涙を流すお母さんや付添いの家族の姿をよく見るように思いますが、実際には泣くほどの高ぶりはなかったです。
いや、すごく感動というか感慨深いものでしたが、どちらかというと「やっと出てきた・・」という安堵の気持ちが大きかった気がします。
手術でなければ違ったのでしょうか。いくら陣痛が長くても、最後は痛みも感覚も麻痺した状態で取り出すため、感動が薄かった?
いや、そんなことはないと思います。待ちに待った赤ちゃんが出てきてくれた感動は同じだと思う。
もう自然分娩することはない私には、今後も比較する機会はありませんが。

手術決断のとき

大げさなタイトルにしましたが、決断もなにも、助産師さんの帝王切開の提案に対して、私としては即断即決でした。
むしろ、もっと早く、具体的には入院から10時間を超えたあたりで、「もういいんじゃない?切ってちょーだいよ」と密かに思っていました。


ただ、帝王切開は、腹筋をバッサリと切ることになり、ただでさえ産後すぐに赤ちゃんのお世話で満足に眠ることもできないお母さんにとって、 とても負担の大きい手術です。病院側もむやみに進めることはありません。


そして実は、身体的だけでなく精神的にも、帝王切開というのは後々、色んなことがありました。私は出産時点では、無知で知らなかったのですが、 帝王切開というのは(特に一定以上の年齢層の方たちにとっては)禁断の処置ともいえるもののようで、術後、退院後、ことあるごとに複雑な思いになるシーンがありましたね。
それはまた別の記事にまとめさせてもらいます。


ここでは帝王切開に決める際の経緯について、書いておきます。

待てど暮らせど、子宮口が1センチから開かずに、陣痛開始から10時間を超え、その後やっと3センチ開いてからもまた進展せずに、20時間経過するころ、 微弱陣痛という状態になりました。
微弱陣痛とは、「陣痛があるものの、お産が進まない状態」で、症状にはいくつかのパターンがあるようです。私の場合は、お産が進まず(子宮口が開かず)、 そのまま陣痛間隔がだんだんと開いてきました。このままだと、お腹の赤ちゃんも私自身も疲れてしまい、場合によっては危険な状態になるようです。

陣痛が始まってから、眠ることも食べることもできないでいたのですが、20時間が経過する頃には、陣痛の波間に一瞬寝落ちしているというか、気を失っているような状態になり、 また陣痛の痛みにより起こされて一通り苦しんで、波が過ぎたら(座ったまま)気を失うという状態になりました。このあたりで、担当の助産師さんがお医者さんに状況を説明してくださり、 それを機に帝王切開の提案を受けることになります。

選択は2つに1つでした。微弱陣痛のままだと体力を消耗するだけのため、「陣痛促進剤を投与して、再度5分間隔の陣痛を促す」か。
帝王切開へ切り替える」か。
陣痛促進剤を投与すると、再び強い陣痛が蘇るのは確実ですが、かといって子宮口が開いてくるかどうか、開いたとしても、さらにあと何時間、何十時間かかるのか、 それはわからないということでした。最悪の場合、促進剤で再度延々苦しんで、その後帝王切開になることも十分あり得るということ。 

 

f:id:hijikimamek:20180629215600p:plain

 

無理でしょう。すでに疲労困憊でしたよ。トラックにさんざん乗りあげられて20時間ですよ?

帝王切開は、身体的にも精神的にもしんどい面が多々ありました。それを踏まえても、もう一度同じ局面に立てば、同じ選択をします。
ただ、その時の私は、出産により興奮状態にあり、また疲労で判断力が低下しており、なんというか、ただただ「負けた」ような気がして、涙があふれたのを覚えています。
その際に、お医者さんから冷静な声で言われたことが今も心に残っています。
帝王切開手術は、全く泣くようなことではないです。私たちは、お母さんと子どもが安全に出産を終えられるよう、常に最善の方法を提案しています。 今、最善の方法は帝王切開です。」

この言葉は、色んな意味で私にとって救いの言葉でした。
これから出産を経験されるプレママさんたち、もし何らかトラブルがあり、帝王切開など予期しない処置をする展開になったとしても、漠然とした不安や無駄な外野の声は気にせず、 お医者さんや助産師さんを信用しましょう。プロが言うんだからそれが一番いいのです。(一部例外的に、判断ミスなどもあるようですが)

延々と続く「陣痛なう」

入院後、出産までの時間は、陣痛室という部屋で、他の陣痛のお母さんたちと過ごします。(各ベッドはカーテンで仕切られている)

子宮口が10センチ(全開)になるまで、ひたすらここで分娩の時を待つわけです。


出産が重なると、他のベッドからのうめき声など聞こえるようですが、私のときは、「陣痛なう」は私だけ。

向かいのベッドに、出産を終えたお母さんが、家族となごやかに会話する声だけが聞こえています。

なごやかにしゃべりながら、私のうめき声や小さい悲鳴を聞いて、数時間前の自分を思い出したりされていたのでしょう。

 

16時に陣痛が始まり、入院した時点で3~4時間が経過していました。

結局、私はこの陣痛室で翌日の15時過ぎまで過ごし、ついに分娩室へはいけずに、手術室へ行くことになります。
手術室へ入るそのときまで、陣痛と闘っていたわけですが、ここでよく話題になる、陣痛とはどんな痛みか?どれくらい痛いか?という疑問に 私なりに答えたいと思います。「尿管結石の発作と同程度の痛み」でした。(わかりにくい) 

 

陣痛≒結石の発作?


陣痛の痛みを未経験の人に説明するのは難しいですが、出産経験のない方でも、この経験がある人にはイメージできます。

「尿管結石」の発作です。

経験ありますか?尿管結石。このブログを見ていただいている方の99%以上は経験ないですよね。あまり女性(特に若い女性)で経験される方は居ないと思います。
男性であっても経験されるのは一部の方ですよね。

でも、結石の発作とは「大の男が泣きながら救急車で運ばれるレベル」というのはよく言われることかと思います。 

 

私は20代のときに尿管結石を経験しました。突然、信じられないぐらいの痛みが腰あたりを襲いました。これは本当に痛い。

自力で動けず、あまりの痛みにパニックになった私は、救急車を自分で呼ぶこともできず、当時一人暮らしだったため、しばらく一人でのたうち回りました。

本当に痛い痛い痛い。それはもう痛いです。


結石だけでも何ページか記事が書けるほど(ニーズ無し)、インパクトのある経験でした。

そして、陣痛はその痛みを若干増幅し、かつ長引かせたものになります。

必ずしも陣痛のほうが結石より痛いとは言い切れませんが、結石発作が、数時間程度でおさまるのに対し(痛み止めの注射や座薬の処方もあります)、陣痛は痛み止めの処置を しようがなく、ひたすら尋常じゃない痛みに長時間耐えることになる分だけ、やはりキツイと思います。

陣痛も結石も経験のない、プレママさんたちには全く共感できない内容になってしまいました(汗

尿管結石と陣痛のどちらが痛いかという論争に、両方経験した自分が白黒つけたかったたという、個人的な記事になりました。

f:id:hijikimamek:20180702214243p:plain

結石以外で痛み度合いを表すとすると、私以外の方の表現を借りることになりますが、
「腰の上にトラックが乗ってきて、腰骨がバラバラになるような痛さ」というのが、私的には最もしっくりきました。

まぁ、トラックに乗られたことが無いので、結局これは正しい表現なのか疑問ですね、やはりここは実体験から、結石の痛みと近いと声を大にして言わせていただきます(振り出しに戻る)