これまでの人生、幸いにして、大きな災害に見舞われることなく過ごしていますが、それでも短時間であればライフラインが絶たれて困った経験はあります。
一度目はマンションの設備老朽化による断水、二度目は先日直撃した台風の被害による停電&断水です。
(正確にはもっと子供の頃に、水不足による計画的な断水などあった気がしますが、昔過ぎて記憶があいまい)
生まれてから40年ほど、四国と近畿に住んでいて、昨年まではほとんど何も無かったのに、ここ2年ほどで2回も経験するという…
このペースだと近いうちに、もっと深刻な被害に遭う可能性が十分にあると、それまでののんびりした自分を反省し、今は少しずつ防災準備をし始めましたので、そのことを書きます。
経験談1 マンションの設備故障による断水
昨年、ある週末の昼下がりに、突然水が出なくなりました。
地震も台風も何もなく、ごく平和な土曜日。
いつものようにトイレにいったら、水が流れない。
急いで洗面所や台所も確認しましたがダメ。
お隣さんに聞いたところ、同じ状況ということで、ごく限定された地域のみの断水か??と思いましたが、マンションの隣りの戸建て住宅では、普通に水を使っている様子。
なんだかわからず、マンション管理会社の緊急連絡先に電話するも、現在調査中とのこと・・・
結局夕方頃に、管理会社から現地(うちのマンション)に派遣された方から、「設備の不具合により断水している。修理に必要な部品を取り扱うメーカーが休日のため、最短でも明日以降に部品の取り寄せが可能かどうかが判明してからしか、復旧めどが立てられない。」とのこと。
えーーーーー!?
うちのマンションは、当時で築15年ぐらい。それなりに劣化はありますが、特別老朽マンションということはないと思います。むしろまだ新しい方かと。
また、大規模マンションとはいいませんが、70戸が入居するそこそこの規模の分譲マンションであり、そんなところで、何より大切な給水機能に関わる部品が、何の前触れもなくあっさり壊れて、数日水が止まりますって。
そんなん普通あります??
当時1歳の子どもが居て、まだミルクも飲んでいましたし…お風呂に水をためているわけでもなく、トイレも使えない。
ウォーターサーバーはありましたが、さほど潤沢に水パックの備蓄があるわけでもない。
一瞬途方に暮れました。
結局、子どものことも考えると、復旧めどが立たない状態で、自宅で過ごすのは難しいと判断し、自転車で10分程度の距離にあるホテルを数日分予約し、すぐにそちらに移りました。
離乳食を食べている1歳児を連れた移動ですので、荷物は多いし、ホテルには無い必需品もたくさんあり、さらに子どもが発熱までしていて、本当に大変でした。
翌日朝に帰宅すると、すでに水が出ており、実は昨夜のうちに復旧していたとのこと。
まぁ復旧それ自体は大変ありがたいですが、ホテルに泊まったり、ホテル近くの大型スーパーでポリタンクや水や、モロモロを買いそろえたりしたものは、すぐに要らなくなりました。
結果論ですが、早々に数日間の断水対策をしたことは、このときは少々先走りだったということになりました。
ちなみにこの断水による被害の調査や補償は全く無く、断水原因についても、業者さんが管理会社に提出をした調査結果のコピーが、後日ポストに一枚入っていただけでした。
そんなものなんでしょうか…
ホテル代を補償しろとまでは言いませんが(ほんまは言いたい)、謝罪のコメントと、もう少し丁寧な、原因と再発防止策の説明などあってもいいように思いました。
経験談2 台風被害による停電と断水
今年(2018年現在)の近畿地方は、6月に大阪北部地震があり、9月に台風による大規模被害がありました。
我が家は、地震の被害としては、熱帯魚水槽の水がこぼれたぐらいですみましたが、9月の台風時には10時間前後の停電と断水に見舞われました。
それまで意識していなかったのですが、停電すると、マンションの場合断水も同時に起こることもよくあるようですね。うちがそうでした。(配水の方法によるようです)
前年の断水時も困りましたが、断水と停電が組み合わさると、特に日没後は、備え無しでとても乗り切れるものではありませんでした(暑い時期だったことも悪かった、逆に寒い時期もキツイと思います)。
日が暮れるまでは、「そのうち電気もつくんじゃないかな」などと余裕をかましていたのですが、暗くなってくると、一気に不安に襲われました。
大好きな映画なのですが、その序盤のワンシーンに、日没を迎えて急速に暗くなり、それまでの世界がみるみる別世界になっていく場面があるんです。
私がとても好きなシーンの1つなんですが、今回、停電の中で日没を迎えたときに、急にこのシーンを思い出しました。
映画の中では、日没になり、いっせいに提灯に灯りがともり、日中の明るい中では見えなかった影が無数にうごめき、独特のざわざわした感じになって、場面が急速に変わります。
得体のしれないものが闇と一緒に活気づいてきて、主人公の恐怖を煽ります。
現実には、ただただ部屋の中が暗くなっていくだけですが、あっという間に色が無くなり、何も見えなくなり、子どもにおにぎりを食べさせていたテーブルでも、手元がおぼつかなくなり、さっきまでの明るかったときには感じなかった強い不安が急に膨らんで…私もこの闇の勢いに、大いに恐怖を煽られました。
真っ暗な夜は、想像していたよりずっと、どうにもならない世界でした。
後から考えれば、私が呑気過ぎました。このとき妙に余裕があったのは、頭の隅に、前年の断水時のことがあったからだと思います。
大げさにしなくても案外大丈夫なもんだと、そんな風に思うようになっていたんです。
もしかしたら断水だけなら、確かにそうだったかもしれません。ですが、停電も伴うと、かなり甘かったと、暗くなってしまってから急に後悔しました。
結局、光量の乏しい懐中電灯と、人感センサー付きの足元用の灯りはあったので、それで何とか最低限の光量を確保し、親戚へSOSを出して、マンションまで迎えに来てもらって、その日は(被害の無かった)親戚宅に泊めてもらいました。
避難するための準備も、暗くて見えないので、はかどらない。
あせるばかりで、なかなか進まないし、蒸し暑いし、子どもは不安がってひっついてくるしで、てんやわんやでした。
翌日に避難先から帰宅すると、ありがたいことに電気・水道とも復旧していました。
お隣さんに聞くと、停電当日の19時半頃には復旧していたそうで、結果的にはこのときも、親戚宅に逃げた30分後ぐらいには復旧していたことになります。
(復旧に全力を注いでくれた電力会社の方々には心から感謝です。ライフラインを守るお仕事、なんて過酷で、尊いお仕事でしょう(TДT))
このときも、暗い中しばらく我慢していれば、通常の生活が戻ってきたわけですが、それは結果がわかっているから言えること。
さすがに停電への備え無しには、1時間に満たない時間でも、小さい子どもと夜を迎えることはできなかったなというのが実感です。
これだけは備えましょう
これらの経験から、最低限、下記のものは自宅に備えるようにしました。
・メイン光源 乾電池式ランタン
とにかく、光が無いとどうにもなりません。
安全に逃げるためにも、光は必要。
1つでいいので、生活スペースを照らせるメインの光源を備えましょう。
キャンプ用に開発されているもので、いいものが色々とあります。
私は、これを買いました。
こちらのランタンは、最大1000ルーメンで照らすことができ、1000ルーメンの場合で12時間、その次に明るい700ルーメンでも18時間点灯するそうです。省エネモードといえる、電球色300ルーメンだと25時間持つそうで、個人的には300ルーメンで十分だと思いました。電球色なので優しい灯りですし。(写真2枚目が300ルーメン)
以下は、700ルーメン(昼白色)と300ルーメン(電球色)の2パターンを試した写真です。夜間に照明を全て消して、6畳程度のダイニングを中心に撮りました。
写真はダイニング部分だけが写っていますが、ダイニングと続いているリビングもキッチンもちゃんと照らされていて、雰囲気のあるバーぐらいの明るさはあります。
もちろん天井の照明に比べれば、影になる部分などは暗いですが、それでもこの程度照らせれば、危険を感じることなく過ごせます。
ちなみに、こちらは単一乾電池3本使用です。
ランタンには様々なタイプがありますが、私の場合は、「乾電池が使えること」「一部屋を照らせるパワーがあること」「最低でも一晩12時間程度はバッテリーが持つこと」を必須条件として選びました。
私が探した時点で、これらの条件を満たし、かつ安価でレビュー内容も良かったのがこちらでしたが、他にも、照明機能のほかに、携帯電話などへの給電機能が付加されているタイプや、太陽光により蓄電できるタイプなど、色々とあります。
ご自身のニーズに合わせて比較検討してみてください。
・サブ光源 懐中電灯、足元灯など
メイン光源が1つはあることが前提です。これらのサブキャラだけでは、いざ停電になったら、光量も耐久時間も足りませんのでご注意。
メインをリビングなど主要な部屋に置き、サブ光源はトイレやキッチンなど、動線上に置いて必要なときに使います。
ちなみに我が家には、ロードバイク用のライトが複数個あり、それらも非常時には役立つことがわかりました。
ただ、マイクロUSB端子による充電が必要なライトがほとんどなので、充電が切れていると無用の長物と化します。
よって今は、ライトを使っていないときでも、時々給電しておくようになりました。
・風呂の残り湯とミネラルウォーター
風呂の残り湯を溜めていると、水垢が付きやすいんですよね。それが嫌で、以前はお洗濯などに使わない場合はすぐにお湯を抜いていました。
しかし、一度目の断水を経験した後は、残り湯は残しておくようになり、二度目の断水時はそれにより、お手洗いに使用できて大変役に立ちました。
少々風呂釜がぬるぬるになろうが、こまめに掃除することを前提に、ぜひ残り湯は置いておきましょう。
また、残り湯は、口に入れることはできないため、飲料水は別に確保が必要です。以前、子どものミルク作り用にウォーターサーバーを設置していたのですが、それがあれば非常時も水を確保できると思いきや、使っていたウォーターサーバーは、水を注ぐのも電気の力でするものでしたので(たいていそうだと思います)、停電時には使えません。
水のパックだけを取り出して、無理に使えなくはないですが、非常に使い勝手が悪いため、子どもの卒乳後は、サーバーは撤去しました。
その代わり、2リットルのミネラルウォーターを常時2箱分程度買っておき、普段から料理などに使いながら、いざというときに備えています。
・カップ麺とレトルトご飯
停電・断水しても、ガスだけは使えることが多いです。また、カセットコンロを常備していれば、それにより、火は確保できます。
ただ…普段は意識しなかったのですが、火だけ使えても、案外ご飯の準備ってできないのです。
断水しているため、通常のように鍋・フライパンや食器は使えない(一度使ったらなかなか洗えない)。
極力洗い物を出さず、温かい食べ物を確保したい。
そういう場合、最も手っ取り早いのはカップ麺です。
袋麺だと調理が必要ですので、お湯を入れるだけでOKのカップ麺の手軽さは重要です。
また、麺類ばかりでなく、ご飯も欲しいですよね。子供がいると特に、ご飯にふりかけや、レトルトカレーをかけて食べさせたくなります。
ですが、米がいくらあっても、炊飯器が使えなければご飯が炊けない。
また冷凍ご飯が備蓄してあっても、レンジが使えないと食べられる状態にできない。
そんなときはコレです。
メーカーはどこのものでもいいです。この類のレトルトご飯はたいていすべて、レンジのほかに湯せんで戻すことができます。
停電を経験するまでは、恥ずかしながら、湯せんの方法があることすら意識していませんでした。
みなさんもおそらく通常は、電子レンジであっためますよね?
ですが、いつでもどこでも電気が使えるわけではないのです。
ちゃんと選択肢を準備している開発者の方、本当に素晴らしい!
・乾電池の備蓄
ランタン用の電池、携帯ラジオ用の電池など、各種サイズの電池を常に余分に買うようになりました。電源不足恐怖症といってもいいかも。
それぐらい、リアル千と千尋の世界は怖かったのです。
上記のツールに加え、常に家庭にあるもの(食べ物だと、ふりかけとか味付け海苔とか、缶詰のおかずとか。涼を得るならウチワとか、暖を取るなら毛布とか。)を加えれば、2、3日は自宅でしのげるのではないでしょうか。
改めて考えると、この地震大国日本で、ここに書いた程度の備えも無しに生活してきたことのほうが、どうかしていたと今は思います。
自分の無防備さに気づくことができて、台風などの経験も無駄ではなかった。
うちでは、ここに書いたもの以外にも、今も少しずつ、防災グッズを揃えていってます。
それらが活躍する日が来ないことを祈りながら。