私は以前、子どもを自転車に乗せて帰宅中、無謀運転の自転車に突っこまれて転倒する事故に遭ったことがあります。
幸い子どもは無傷でしたが、大変怖い思いをしました。
そのとき一番困ったことは、(車の事故も含め)交通事故を経験するのが初めてで、今からどんな流れで物事が進んでいくのか、全くわからなかったことでした。
一度経験してみて、だいたいの流れがわかりましたので、自分の備忘を兼ねて、書かせてもらいます。
実際の賠償内容について、内訳書類の一部も載せますので、ご参考にしてください。
気になる慰謝料についても、あくまで「私のケースは」ですが、記載します。
ここでは自転車同士の事故を例にしていますが、車同士や車と歩行者など、他のケースでも大まかな流れは同様です。
事故直後
事故に遭ったら、すぐに警察に通報しましょう。救急車を呼ぶかどうかは、ケガの程度によりけりです。私の場合は、子どもが頭を打っていたので、見た目に外傷は無かったですが呼びました。
余談ですが私はそれまで、警察に連絡さえすれば、その後の(救急車等の)必要な手配もしてくれるものと勘違いしていました。
当日、警察へ電話し、現在地やケガの状況など細かく全部伝えた後に、救急車は別途自分で呼んで、同じ説明を再度してくださいと言われて、(泣き叫ぶ子どもを抱えながらの通報だったため)ちょっとショックを受けました。
なお、警察への通報や救急車の手配は、被害者により可能な場合でも、加害者にお願いしてやってもらいましょう。
私は自分でやってしまい、別にいけなくはないのですが、そうしている間子どもは泣き通しでした。
冷静に考えれば、自分で電話しなくても相手に任せて、子どもをしっかり抱いていてあげればよかったなと後で思いました。
救急搬送~帰宅
救急搬送されて診てもらった際、その場で診断書をもらえればそれが一番です。
診断書は人身事故の届け出に必須のものなので、後で必ず必要になります。
ただ、救急病院では、診断書は出してもらえないこともあります(私がそうでした)。
その場合、後日改めてかかりつけ医院にいって出してもらうことになります。
その辺は、ケガの程度や、搬送先によりケースバイケースだと思います。
帰宅後落ち着いたら始まる、2大手続き
事故後に、急ぎ必要な手続きは、大きく2つあります。
1つは診断書の取得@病院、もう一つは人身事故の届け出@警察です。
(ケガがなくその場で手続き可能な場合は、警察とのやり取りは現場でされることもあるようです)
事故によりケガを負った場合、必ず病院を受診し、ケガの詳細や全治何日であるかを記載した診断書を発行してもらいます。
これがないと、人身事故として警察で取り扱ってもらえなくなります。(物損事故で処理するなら不要)
補足1)人身事故と物損事故の違い
私は初めて事故にあったとき、人身事故と物損事故の違いすらわかっていませんでした。
警察からは、「人身事故で処理しますか、それとも物損事故にしますか?」と聞かれます。
それって個人で決めることなんだ…と、まず戸惑い、両者はどう違うの?何をもって判断するの?と、戸惑いました。
警察に聞いても、聞きたいことのすべてには答えてくれませんでした。(どっちの方が後々良いのかなどの質問にヘタに回答すると、警察から被害者へ、特別に配慮をしたことになるなど、マズイことがあるのかもしれません)
当時の私たちの状況としては、救急搬送された病院で、とりあえず子どものケガだけを診てもらい、ケガ無しの診断がされていました。
私は未受診で、膝を打っていて出血はしていますが、普通に歩けますし、骨に影響があるケガとは思えない程度のものでした。
じゃこれって人身事故なの?そもそも自転車同士でコケただけ…といえばそうだし、交通事故といえるの・・・?
答えは、イエスです。
ケガの大小ではなく、ケガがあるなら人身事故です。そして自転車事故も立派な交通事故です。
※ちなみに小さい子どもの場合、見た目外傷はなくても、救急搬送もされていることから、もし「痛い」としゃべれれば、それで診断書が出て人身事故になったそうです。今回はまだ一歳でうまく話せなかったため、私のケガにより人身事故の届けをしました。
被害者が怪我をしたり死亡したりしている場合は人身事故。モノが壊れただけなら物損事故。
前者は、手続きは多少増えますが、被害者としては適切な賠償を受けられるようになります。
物損事故であってもケガの治療費は出ることもあるようですが、その場合でも、治療にかかった実費だけで慰謝料の支払いはありません。
補足2)物損事故にしてほしいと言われることも!?
私が経験した事故では、妙な交渉はなかったですが、場合によっては「人身事故ではなく物損事故で処理させてほしい」とお願いされることもあるようです。
ケガの治療費はきちんと出すから、と。
ではなぜ物損事故にしてほしいと言い出す加害者が居るのか。
それは、物損事故にすることで「(車の場合)免許の点数に影響しない」「民事・刑事罰に問われない」「賠償額が少なく示談もすぐ終わる」といったメリットがあるからだそうです。
しかし、被害者にとって、事実を曲げて物損事故にするのは、デメリットだらけですので、ケガをしているなら必ず人身事故として届け出ましょう。
人身事故として届け出れば、警察は実況見分書と供述調書を作り、詳細な事故状況を書きとめます。これが後々、事故相手と過失割合で揉めた場合などに、重要な証拠になります。
物損事故ですと、簡易な報告書しか作られないようで、示談交渉で揉めても、事故状況を証明できる資料がなくなってしまう可能性があります。
また、事故から数日は大したケガじゃないと思っていても、日数が経って症状が出ることもあるかもしれません。物損事故から人身事故へ切り替えることはできますが、警察への切り替えの届け出は期限がありますし、期限切れの場合は保険会社へたくさんの資料提出が必要です。最初から人身事故にしておくほうがよほどスムーズです。
どんなに(他人から見れば)些細な事故であっても、ひとたび遭ってしまうと、『病院を受診する・警察署へ足を運ぶ・仕事や用事を休む』等々、大なり小なり日常生活を乱されて大変な思いをします。
これに対する慰謝料は、たとえ少額であっても、支払ってもらわないと割に合いません。
警察での供述調書の作成
診断書を手に入れたら、それを持って最寄の警察にいき、供述調書を作成してもらいます。
私のときは、先に加害者から話を聞いていて、私が話した内容との整合性も確認しているようでした。
調書作成の際、加害者を告訴する権利があることの説明を受け、その権利を行使するかどうかを聞かれます。
告訴とは、加害者を処罰してもらうために訴えることで、加害者の態度があまりにひどいなど、刑事罰を求める場合に行うものです。
私のときは、加害者からの謝罪の言葉もありましたし、なにより未成年でしたので、告訴はしませんでした。
※ちなみに、例え告訴したとしても、よほど悪質なケースでない限り、甘い処罰で終わることも多いようです。
調書を作成してもらったら、警察とのやり取りはいったん終了です。
示談交渉~賠償
診断書取得や警察での調書作成と並行し、相手保険会社との示談交渉が始まります。
最初に挨拶を兼ねた電話があり、その際に今回の事故状況を聞かれ、損害を尋ねられます。
よって、可能なら相手保険会社から初回の連絡が来るまでに、損害についてまとめておくといいと思います。
(もちろん後からでも申告可能です、何度も電話するのも面倒なので、という意味)
ちなみに、「すでに支払った治療費はあるか?」「病院への交通手段は?(費用が出ているか?)」など、誰にでもあてはまりそうなことは、相手の方から聞いてきますが、こちらから言わないと聞いてこない内容もあります。
私の場合、例えば会社を休んだことによる休業損害については、こちらから言うと初めて賠償項目に追加されました。
(女性だったからか、会社勤めはしていないことを前提で話をされました。今どき…)
よって、賠償されるべきと思う項目はどんどん申告しましょう。(認めてもらえないものも多いけれど)
このときの内容をもとに、賠償のために必要な書類が後日郵送されてきますので、必要事項を記入し、領収書などの証明書類を添付した上で、保険会社へ返送します。
ご参考までに、私が受けた賠償内容の一部をお見せします。
賠償されたものは下記の5項目です。
- ケガの治療費
- 通院交通費
- 自転車修理代
- 休業損害(会社を休んだ分の損害)
- 慰謝料
事故に関連した出費は大抵認められたのですが、認められなかったものあります。
例えば、当日に夫が、救急病院にかけつけた際のタクシー代は対象外にされました。(タクシーでしか行けない病院でしたが。)
交通費は事故にあった本人しかダメとのこと。同居の家族ぐらいはOKでもいいと思いますけどねぇ。
また、救急搬送された時間が子どもの夕飯の時間でしたので、病院の待合室で軽くご飯を食べさせましたが、そういうお金はレシートがあっても出してもらえませんでした。
もちろんその日は、大人の食事もいつものように作る時間はなく、宅配を頼みましたが、それも対象外。
もっと細かいことを言えば、私は膝をケガし、当日はいていたストッキングとパンツは廃棄処分になりましたが、それももちろん対象外。
こういう細かい損失は厳密にカウントすればまだたくさんあります。
そして慰謝料ですが、私のケースでは、1万円台(過失相殺後)でした。
慰謝料以外の賠償項目は、実際に出て行ったお金ですので、賠償されても当然プラマイゼロです。
慰謝料だけが、唯一プラスでもらえるお金になります。
ですが、上にも書いたとおり、賠償対象にはしてもらえなかった出費もいくつもありますので、実際は慰謝料からそれらの費用を捻出することになります。
そうすると残りは、あっても2,000円ぐらいです(笑)
ケガがたいしたことなかったとはいえ、救急車に乗り・後日整形外科にも行き・警察にも行き・仕事も休み・子どもは事故当日に雨に濡れて高熱を出し・通勤手段の自転車は修理でしばらく使えず・警察に暴言を吐かれ・保険会社にも嫌な思いをたっぷりさせられて、この金額です。
事故に遭うということは、その時点で損が確定です。
ちなみに賠償額は、過失割合に応じて減額されます。
過失割合については別記事にも書きましたが、「保険会社の規定に基づき」相手が勝手に決めてきます。
加害者個人が仮に、100%自分が悪いと認めていたとしても、交渉を担う保険会社は、なるべく支払いを少なくするために、被害者の過失を責めてきます。
今回の事故を未然にふせぐために私にできたことは、「その日その時間にその場所を通らないこと」だけでしたが、保険会社に言われせれば「前方不注意」となります。
納得いかなければハンコを押さなければいいのですが、私は、とにかく早く終わらせたい一心で、さっさとハンコを押してしまいました。
ですが、できればここは、なるべく粘って交渉しましょう。
相手保険会社は交渉されてもいいように、初回は強気な過失割合を提案してくるように思います。
一般的には、どう粘っても過失ゼロを勝ち取るのは難しいようです。ですが、多少は交渉の余地を残しているものです。
過失割合に納得し、賠償額含め相手の提示内容を承諾できれば、書類に印鑑を押して、相手との交渉は完了です。
指定口座に賠償額が振り込まれて、すべてが終了となります。
繰り返しますが、幸いにもケガの程度が軽く、被害が少ない場合、金銭的にも被害者には損しかありません。
では後遺障害の残るような大ケガをしたほうがいいのかというと、お金はそれなりにもらえますが、お金では解決できない苦痛をずっと味わうことになります。
事故には遭わないのが一番いい。
とはいえどんなに注意しても、向こうから飛び込んでくることもあるのが事故です。
もしものときに、私の記事が少しでもお役に立てば幸いです。
加害者側の備えについても記事にしていますので、よろしければご覧ください。