娘を出産したとき、里帰りはしませんでした。
母親の手伝いも、退院後三日だけお願いしました。
夫婦だけで産前産後を乗り切るためにした準備について。
ここでは、「夫の育児休暇取得」の続きを書きます。
パパはいつ育休を取るか
男性が育休を取る場合、どのタイミングがベストなのでしょうか。
うちは、産後1ヶ月間の産褥期に合わせて、2週間とってもらいました。
産後2週間までは、(出産した)病院と産後入院、母の手伝いでつないで、その後夫と二人体制で乗り切った形です。
狙い通り、これはいいタイミングでした。
産褥期間には、ママは特に体を大事にしたほうがいいと言われています。
また、この時期の赤ちゃんは新生児期にあたり、まだまだ外の世界に出たばかりで、昼夜の区別も全くつかないことが多く、 初めての場合は特に、親の不慣れもあり、とにかく大変な期間です。
その間を夫婦でお世話できたのは、本当に助かりました。
生まれたばかりの赤ちゃんは、2~3時間ごとに起きて、ミルクを求めて泣きます。
ママは大抵の場合、出産直前からずっと、寝不足が続いています。私も夫が休んでくれるまでは、夜中も続く授乳がかなり身体にこたえていました。
ですが、夫が育休に入ると、夜を1日ずつ交替制にしてもらえました。1日ごとにちゃんと寝られる日があることは本当に恵まれていました。
「昨日はほとんど寝られなかったけど、今日は任せて眠れる」と思えることが、精神の安定をもたらしてくれました。
うちの場合このように、産褥期間を乗り切るためにパパの育休を活用しましたが、それ以外にも、ママが会社務めをしている場合は、 仕事復帰前に育休を取ってもらうのも有効なようです。
産休・育休後に社会復帰するためには、事前に職場と簡単な打ち合わせがあるケースもあるようですので、その場合子供を見ておいてもらえます。
また、復帰前には美容院に行ったり、通勤用の服を新調したりと身支度が必要だと思いますが、その際にパパに子供をお願いできると楽だと思います。
パパの育休を、2~3週間程度のスパンで考えると、上記のタイミングがオススメになりますが、もちろんもっと長い期間お休みして、 ガッツリ育児に没頭するのが本当はベストです。
うちも、次の機会があれば、最低でも1ヵ月は取得してもらいたいなと思っています。
2週間の休みは、あっ!という間でした。もちろん無いのに比べるとはるかに助かりましたが、それぐらいだと一瞬で終わってしまいます。育児はまだまだそこから本番、贅沢かもしれませんが、夫が復帰する際にはかなり心細く感じました。
2018年現在で、最長で2年の育休取得が可能です。育児休業給付金も、67%はもらえますし(180日を過ぎると50%に減りますが)、権利は大いに使いましょう。
育休パパへのインタビュー
いい機会なので、育休取得経験者である夫に、色々聞いてみました。
Q.育休を取ろうと思った一番のきっかけは?
→近頃話題になっている社会問題(共働き世帯の子育て、父親の育児参加、働き方改革 etc.)が自分の身にふりかかってきたのを好機ととらえ、ぜひ経験しておくべしと思ったからです。
Q.育休取得の調整(職場内、顧客への調整)は大変だった?
→理解のある上司であり、また会社全体も多様な働き方を勧めていたため、さほど大変ではなかったです。
Q.育休中、仕事は完全に手を離れていた?
→完全に手を離れていました。
Q.育休中の役割で、最もキツかったことは?
→すべて、割と楽しんでやれましたが、強いていうなら夜中の授乳が、体力的にキツかったです。
Q.夫婦で育休を取ることで、経済的な面の不安はあった?
→公的な補助があり、その内容を会社の担当者さんから詳しく教えてもらっていたため、不安はなかったです。
Q.育児に本格的に参加してみてどうだった?
→ママたちの大変さを多少なりとも体験できたこと、子供との距離感が縮まった気がすることから、いい経験になったと思います。
Q.育休へのネガティブな意見もあるが(会社での評価が落ちる、出世に影響するなど)実際はどうだった?
→自分としては全く悪影響はなかったです。
Q.世の中の、これから赤ちゃんを迎えるパパへひとことお願いします。
→今回のうちのケースのように(他に頼る人が居ないなど)必要に迫られていなくても、自分にとってかけがえのない経験になるはずなので、進んで育休をとるべし!
パパ育成期間
うちの場合は、産後のサポートがほとんどないことへの備えとして、夫の育休という手段を取りました。
ですが、例え母親などによる長期サポートがあったとしても、夫の育休はやはり必要だと思いました。
なぜなら、ママの授乳負担の軽減と、パパの育成に大変効果的だからです。
昼夜関係なしの授乳は、実家に帰っても、親に通ってもらっても、老親や兄弟姉妹にはお願いしづらいところだと思います。
ママたちは、そこは自分だけの仕事として頑張っていることが多いのではないでしょうか。
そこを夫婦で分担できると、本当に助かります。母乳にこだわりたい場合でも、あらかじめ絞って置いておけば、パパが温めなおして飲ませてあげることができます。
もちろん、育休をとらなくても夜中に替わることはできますが、たまにならまだしも、1日おきに不眠状態になって、 さらに日中は仕事も通常通りやるとなると、パパの方も余裕をなくしていくと思います。
睡眠不足は、人から優しさを奪っていきます。育児にはそれもつきものですが、少しでも緩和できるならその方がいい。
また、パパ育成については、育休期間に子育てに正面から向き合い、子供との距離を縮めることで、夫がパパになるのを加速させられたような実感がありました。
女性は、妊娠してからずっと、お腹の中に子供を感じながら過ごします。よって出産するずっと前から、少しずつママの自覚が芽生えてくるように思いますが、男性はそうはいきません。生まれてきて、触れ合う中で徐々にパパになるものだと思います。
育休により、アシスタントではなくメインの子育て担当者として昼も夜も接することで、うちの夫は一気にパパになったように思いました。
赤ちゃんと常に接している人が持つセンサーってあるじゃないですか。赤ちゃんの顔、肌の状態、動きなどを見ることで、視覚・嗅覚・触覚情報から健康状態を感じとれるセンサー。体温計を使わなくても、少し熱があると、表情を見ただけでもすぐわかるとか。
そういう感覚を、ママだけじゃなくパパにも持ってもらえるのって、ママとしては大いに助かります。パパをその域に持っていくのに、育休は最短ルートになると思っています。
いつか当たり前になってほしい
男性の育休も、女性同様、国が認めた権利です。
しかし、現在のところ、一般的とは言い難いのが現実です。
ちなみに私が生まれたとき、約40年前ですが、会社勤めだった母は育休を取りませんでした。 母の会社では、制度としては整備されていたにも関わらずです。
当時、少なくとも一人目の出産で、休む人は居なかったそうです。育休どころか、産後2ヵ月程度で、フルタイム復帰するのが当たり前だったそうで、今だと信じがたい状況です。
この当時に比べれば、働く女性の出産・子育て環境は劇的に改善されているといえると思います。
しかし、男性については、40年前の女性と似たような状況であり、夫婦が同じように子育てに専念できる社会になるには、まだまだ時間がかかりそうです。
私はこの記事で、育休は「権利」と何度か書いていますが、本当は別に、権利!権利!と声高に主張したいわけではありません。
親が子の面倒を見る、夫がダメージを受けた妻の回復サポートをするという、当たり前のことを当たり前にできる世の中になってほしいと、それだけなのです。
自分の娘が大人になったときは、パパの育休が当たり前の世の中になっていますように。
そのためにできることを、経験者として、微力でも夫婦でやってきたいと思っています。